七転び八起きはおかしい？七転八倒との違いは？似たことわざを調査

本記事は、七転び八起きについて調査した結果を徹底解説しています。

人生には思わぬ困難や挫折がつきものです。そんなときに心の支えとなるのが「七転び八起き」という言葉。このことわざは、日本人の精神性や生き方を象徴するようなポジティブな意味合いを持ち、何度失敗しても立ち上がる姿勢を称えています。

しかし、この表現を初めて耳にしたとき、「7回転ぶのに8回起きるなんて数がおかしくない？」と感じた方も多いのではないでしょうか。この疑問には、実は深い背景が隠されています。

また、「七転び八起き」に似た言葉である「七転八倒」という表現もよく聞きますが、これらの意味や使い方には大きな違いがあります。間違えて使ってしまうと、伝えたいメッセージとは真逆のニュアンスになりかねません。

さらに、「七転び八起き」の象徴として親しまれている縁起物「だるま」に込められた深い意味や文化的背景を知ることで、この言葉が持つ価値をより一層理解できるでしょう。

この記事では、「七転び八起き」の意味や語源、関連する疑問をわかりやすく解説します。また、「七転八倒」との違いや、実生活での正しい使い方、さらに似たことわざや類義語についても深掘りしていきます。

最後には、失敗を恐れず前進する力を与えてくれる「七転び八起き」の魅力を再発見できることでしょう。

「七転び八起き」という言葉が持つ深い意味や精神性を知ることで、日々の生活や困難に向き合うヒントが得られるはずです。このことわざの持つポジティブなメッセージが、あなたの人生を後押しする力となるかもしれません。

七転び八起きはおかしい？意味と語源

七転び八起きの基本的な意味とは？

まず、「七転び八起き」の意味を簡潔にまとめると、次のようになります。

何度失敗しても、そのたびに立ち直って努力を続けること。

たとえば、仕事での失敗、日常生活の困難、勉強での挫折など、人生のあらゆる局面において「七転び八起き」の精神が求められます。このことわざは、失敗を恐れるのではなく、それを乗り越えて前進する力を教えてくれる言葉です。

また、この言葉には「人生は浮き沈みの連続である」というニュアンスも含まれています。何度転んでも、最後には立ち直る力があれば、成功を手にすることができる。まさに、日本人の忍耐強さや諦めない姿勢を象徴する表現です。

なぜ「七転び八起き」は「おかしい」と感じるのか？

多くの方が「七転び八起き」を耳にしたとき、「7回転ぶのに8回起きるのは数が合わないのでは？」と疑問を抱くかもしれません。この疑問にはいくつかの解釈や背景があります。

1. 縁起の良い数字「八」が使われている

「八」という数字は、末広がりで縁起の良いものとされます。このため、「七転び八起き」では単純な数の計算ではなく、象徴的に「八」を採用しているという説があります。

2. 生まれて最初の起き上がりを含む

人間は生まれてすぐ、最初に起き上がる力を得ています。この「生まれてからの一度目」をカウントに加えることで、「七転び八起き」という形が成立するという考え方です。

3. 数そのものが象徴的な表現

「七転び八起き」の「七」と「八」は、具体的な回数を表すのではなく、失敗と挑戦の多さや絶え間ない努力を象徴しています。たとえば、「七転八起」という四字熟語も同じ意味を持ち、古代中国の故事「七顛八起」に由来します。このように、回数そのものよりも精神的な意味が重要なのです。

七転び八起きの語源

「七転び八起き」の語源は、大きく分けて次の二つの説に由来します。

1. 仏教に由来する説

仏教では、「倒れても起き上がる姿」を象徴する「だるま像」が有名です。だるまは何度倒しても必ず起き上がるため、「七転び八起き」の象徴的存在となっています。だるまの存在は、努力や再起を強く示すものとして、日本文化に根付いています。

2. 中国の故事「七顛八起」に由来する説

中国の故事「七顛八起（しちてんはっき）」は、「何度倒れても起き上がる」という精神を表現しています。この故事では、「顛（てん）」は「転ぶ」だけでなく「逆境に陥る」ことも意味し、そこから立ち直ることを称賛する言葉として使われました。

これらの語源からもわかるように、「七転び八起き」はただのことわざではなく、東洋的な人生観や価値観を反映した言葉なのです。

七転び八起きと七転八倒の違い

ことわざ	意味	ポジティブ/ネガティブ
七転び八起き	何度失敗しても立ち上がり、挑戦し続ける。	ポジティブ
七転八倒	苦しみや痛みにのたうち回る様子を表す。	ネガティブ

七転八倒の意味とは？

「七転八倒」とは、苦しみや痛みでのたうち回るような様子を表現する言葉です。具体的には、七度転んで八度倒れるという漢字が示す通り、何度も転げ回る状態を描写しており、その中には立ち上がる力も意志もないような状況が含まれています。

この言葉は、肉体的な痛みだけでなく、精神的な苦痛を表す際にも用いられることがあります。

「七転八倒」は「七転び八起き」のような前向きな再起や努力を示唆する意味は含まず、むしろ絶望感や耐えがたい苦悩を強調する言葉です。そのため、この言葉を使う際には、シーンや状況に適した使い方を心掛ける必要があります。

たとえば、病気やケガなどによる強い肉体的な痛み、または失恋や仕事での大失敗などの大きな精神的ショックを受けた場面で用いられることが一般的です。この言葉を使うことで、話し手は状況の深刻さや悲惨さを効果的に伝えることができます。

七転び八起きの象徴「だるま」に込められた意味

なぜだるまは「七転び八起き」を象徴していると言えるのか？

1. 倒れても起き上がる形状

だるまの特徴的な形状は、七転び八起きを象徴する最たる理由の一つです。だるまは重心が低く、底部が丸く作られているため、倒れても自然に起き上がる仕組みになっています。この物理的な特性が、何度失敗しても諦めずに立ち上がるという精神と重なり、「失敗を恐れず挑戦する姿勢」を象徴する存在となったのです。

だるまの形状には、意図的に作られた哲学が込められています。人は人生の中で何度も転ぶことがありますが、そのたびに立ち上がり、前に進む勇気が必要です。この「立ち上がる」という行動は、ただ単に物理的に起き上がるだけでなく、精神的に再び挑戦する力を意味します。だるまを見るたびに、この精神を思い出し、自分を奮い立たせることができるでしょう。

さらに、だるまはその形状から子どもや大人問わず手軽に扱え、親しみやすい縁起物として家庭に広く取り入れられてきました。このように、「倒れても必ず起き上がる」という特性が、だるまの魅力と文化的意義を高める大きな要素となっています。

2. 仏教の修行僧「達磨大師」がモデル

だるまの名前の由来は、6世紀ごろに実在した仏教の高僧「達磨大師（だるまたいし）」にあります。達磨大師は、仏教の中でも特に厳しい修行を行ったことで知られており、その不屈の精神がだるまの象徴的な意味と結びついています。

達磨大師の修行には、9年間も壁に向かって座禅を続けたという逸話があります。この過酷な修行は、忍耐と努力の象徴とされ、彼が開いた禅宗の思想の中心にもなっています。達磨大師の精神的な強さと、どんな困難にも屈しない姿勢は、だるまの精神的なモデルとなり、今もなお多くの人々に影響を与えています。

また、達磨大師の名前がついた「だるま」は、仏教文化が持つ精神性を象徴する縁起物としての役割も担っています。仏教では、困難や試練を通じて自己を鍛え、悟りを得ることが重要視されます。だるまはその哲学を具現化した存在であり、人々が試練に直面したときの支えやモチベーションとなるのです。

達磨大師が伝えた教えや精神は、だるまの形状や用途だけでなく、その存在意義そのものに深く影響を与えています。現代でもだるまが多くの人に愛され続けているのは、この普遍的なメッセージが背景にあるからです。

3. 七転び八起きの文化的背景

だるまが七転び八起きを象徴する理由は、その形状や由来だけでなく、日本の文化的背景にも深く根付いています。「七転び八起き」という言葉は、日本人の人生観を反映した表現であり、成功や幸運を祈る際にしばしば用いられてきました。この言葉が示すメッセージとだるまの特徴が重なり、だるまは自然と七転び八起きを体現する存在として受け入れられるようになりました。

古来より日本では、縁起物としてのだるまが正月や祝い事の際に使われてきました。特に、年の初めに目標を掲げ、それを達成するための祈願を込めて片目を描くという習慣は、日本独自の文化です。この行動には、目標達成の努力を続け、最終的には成功を手にするという願いが込められています。

さらに、だるまの存在は家庭や職場だけでなく、地域の伝統行事や祭りにも広がっています。だるま市などでは多くのだるまが販売され、人々が新たな年や挑戦に向けて気持ちを新たにする場となっています。このように、だるまは七転び八起きの精神を象徴するだけでなく、日本の文化そのものを支える重要な存在でもあるのです。

だるまに込められた願い

だるまは単なる縁起物ではなく、人々の願いや目標達成の象徴としての役割を持っています。特に、だるまの独特なデザインには深い意味が込められています。

1. 目を描く習慣

だるまの両目には、目標達成の願いが込められています。以下のような手順で行うことが一般的です：

• 目標を設定し、祈願するときに片目を描く。
• 目標を達成した際に、もう片方の目を描き入れる。

このプロセスは、「努力が実を結ぶまで諦めない」という決意を視覚的に表現するもので、だるまの精神的な役割を強調しています。

2. 赤色の意味

だるまの多くは赤色をしていますが、これは古来より魔除けの色とされてきたことに由来します。特に病気や災害を防ぐ願いを込めて赤色が選ばれることが多いです。

3. 髭や顔のデザイン

だるまの顔は、修行僧である達磨大師を模したものであり、眉毛が鶴、髭が亀を表しています。これらは長寿と縁起の良さを象徴するデザインです。

七転び八起きを使った例文と日常での正しい使い方

七転び八起きを使った例文

1. ビジネスシーンでの例文

• 「今回のプロジェクトは失敗に終わりましたが、七転び八起きの精神で次のチャンスを掴みましょう。」
• 「営業先で断られることも多いけど、七転び八起きで挑戦し続ける姿勢が成功に繋がります。」

ビジネスでは挑戦と失敗がつきものです。このことわざを使うことで、チームや個人に対して前向きな気持ちを持たせ、行動を促す効果があります。

2. 教育や育児の場面での例文

• 「テストでうまくいかなくても、七転び八起きで次の試験に向けて努力しよう。」
• 「子どもには、失敗を恐れずに七転び八起きの気持ちで挑戦する大切さを教えたいですね。」

教育現場や家庭では、子どもたちに努力や諦めない姿勢を伝える際に使うことができます。この言葉を通じて、成功だけでなく、挑戦そのものが価値のある行動であることを教えられます。

3. 日常生活での例文

• 「ダイエットがなかなかうまくいかないけど、七転び八起きで続けることが大事だと思う。」
• 「料理を失敗しても七転び八起きで、次回はもっと美味しく作れるように頑張ります。」

日常的な場面では、このことわざを使って自分自身の努力を肯定したり、周囲にポジティブなメッセージを伝えることが可能です。

4. 感動的なエピソードの中での例文

• 「彼は何度も挫折を経験したけれど、七転び八起きの精神で立ち上がり、今では成功を収めています。」
• 「人生の浮き沈みがあったけれど、七転び八起きでここまで頑張ってこられました。」

感動的な話や成功談の中で「七転び八起き」を使うと、ストーリーに説得力や深みを与えることができます。

七転び八起きの正しい使い方

1. ポジティブな状況で使う

「七転び八起き」は前向きな意味を持つ言葉なので、ネガティブな感情や状況をそのまま強調するためには使いません。むしろ、失敗や挫折を乗り越えた先にある希望や努力を示す際に用いるのが正しい使い方です。

2. 自己励ましや他者への応援に活用

このことわざは、失敗した自分を励ますときや、挑戦する仲間を応援するときに使うと効果的です。「自分ならできる」「次に繋がる」といったポジティブなメッセージを込めることで、相手にも勇気を与えることができます。

3. 日常的なシーンでの自然な使用

特別な場面だけでなく、日常的な会話やちょっとした励ましの場面で「七転び八起き」を取り入れると、親しみやすい表現として相手に伝わります。たとえば、軽い失敗やジョーク交じりの会話でも使える柔軟性があります。

七転び八起きを使う際の注意点

1. 相手の状況を考える

「七転び八起き」は前向きな言葉ですが、失敗直後の相手に使うと、プレッシャーや不快感を与えることがあります。タイミングを見極め、相手が前向きになれる状況で使うようにしましょう。

2. 冗談交じりの使い方には注意

ポジティブな意味を持つ言葉ではありますが、過度に軽いトーンで使うと、本来の意味が薄れてしまいます。特に真剣な場面では、適切な言葉遣いを心掛ける必要があります。

3. 類似表現との混同に注意

「七転び八起き」と似た表現に「七転八倒」がありますが、この二つは全く異なる意味を持ちます。「七転八倒」は苦しみや絶望を表す言葉なので、混同しないよう注意が必要です。

七転び八起きと似たことわざ

1. 不撓不屈（ふとうふくつ）

• 意味: どんな困難に直面しても決して屈しない精神を表します。
• 背景: この四字熟語は、特に逆境や困難を乗り越える強い意志や忍耐力を称える際に使われます。困難な状況にあっても最後まで諦めない姿勢を示す言葉です。

使用例:
「彼は不撓不屈の精神で、新しいビジネスに挑戦し続けている。」
「不撓不屈の努力の末に、夢だった資格を取得した。」

2. 捲土重来（けんどちょうらい）

• 意味: 一度の失敗から再び勢いを取り戻し、再挑戦することを指します。
• 背景: 中国の故事に由来する四字熟語で、戦いに敗れた者が再び勢いを取り戻して反撃する様子を表現しています。

使用例:
「捲土重来を期して、新たなプロジェクトに取り組む。」
「チームは捲土重来を果たし、リーグ優勝を達成した。」

3. 七転八起（しちてんはっき）

• 意味: 「七転び八起き」と同じ意味で、何度転んでも立ち上がる精神を表します。
• 背景: 四字熟語として表現されたもので、「七転び八起き」の簡潔な形と言えます。特に書き言葉として使われることが多いです。

使用例:
「七転八起の精神で努力を続けてきた彼は、ついに成功を掴んだ。」
「人生は七転八起だ。諦めずに頑張ろう。」

4. 雨降って地固まる

• 意味: 一度のトラブルや困難が結果的に良い方向に作用することを指します。
• 背景: 雨が降ることで地面が固まる様子を比喩的に表現したことわざで、困難を乗り越えた後の成長や安定を示します。

使用例:
「ケンカをしても雨降って地固まるように、夫婦関係がさらに強くなった。」
「トラブル続きのチームも、雨降って地固まる結果となった。」

海外における「七転び八起き」に似た表現

日本だけでなく、海外にも「七転び八起き」と似た教訓を持つことわざや表現があります。それぞれの国の文化や価値観を反映した表現を見ることで、グローバルな視点を持つことができます。

1. 英語: “If at first you don’t succeed, try, try again.”

• 意味: 「最初にうまくいかなくても、何度でも挑戦しなさい。」
• 背景: この言葉は、成功するまで諦めず努力を続けることの重要性を伝えています。シンプルな表現ながら、強いメッセージ性を持っています。

使用例:
「She failed her first exam, but she remembered: ‘If at first you don’t succeed, try, try again.’」（「彼女は最初の試験に失敗しましたが、『最初にうまくいかなくても、何度でも挑戦しなさい』という言葉を思い出しました。」）

2. 中国: “失败是成功之母 (Failure is the mother of success)”

• 意味: 「失敗は成功の母。」
• 背景: 失敗が成功への第一歩であることを示す中国のことわざです。日本語でも似た表現がありますが、直接的な言葉として中国文化に根付いています。

使用例:
「虽然失败了，但失败是成功之母，他决定再次尝试。」（「たとえ失敗しても、失敗は成功の母だ。彼は再び挑戦することを決意した。」）

3. フランス語: “Tomber sept fois, se relever huit.”

• 意味: 「7回倒れても8回立ち上がれ。」
• 背景: 「七転び八起き」と同じ意味を持つフランス語の表現で、失敗を恐れず挑戦する姿勢を伝えています。

使用例:
「Même s’il tombe sept fois, il se relèvera huit fois pour atteindre ses objectifs.」（「たとえ彼が7回倒れても、目標を達成するために8回立ち上がるだろう。」）

まとめ：七転び八起きを正しく理解しよう

七転び八起きの基本的な意味をおさらい

「七転び八起き」とは、何度失敗してもそのたびに立ち直り、挑戦を続けることを意味します。この言葉は、特に日本文化の中で、忍耐や努力を象徴する表現として用いられてきました。

例えば、仕事でのプロジェクト失敗や、日常生活での思わぬトラブル、勉強やスポーツでの挫折など、人生には何度も「転ぶ瞬間」が訪れます。そんなときに、「転ぶこと自体は悪いことではない。大事なのはそこからどう立ち上がるか」というメッセージを与えてくれるのが、七転び八起きの精神です。

また、この言葉には、数の多さを表現する「七」と、縁起の良い「八」という数字が使われています。これは具体的な回数を示すというよりも、「どれだけ転んでも諦めずに挑み続ける」姿勢を象徴しています。

まとめ

七転び八起きは、単なることわざではなく、人生を前向きに生きるための力強いメッセージです。仕事、教育、自己啓発など、あらゆる場面で活用することで、困難を乗り越える力を得られます。この言葉をただ知るだけでなく、日常生活の中で実践し、自分自身や周囲の人々にポジティブな影響を与えましょう。

人生には必ず転ぶ瞬間があります。しかし、七転び八起きの精神を持ち続ける限り、立ち上がる勇気と希望を失うことはありません。この教訓を胸に刻めば、きっと豊かな人生を築いていけるはずです。